キオクシア暴落相場の本当の理由とは!

半導体 注目銘柄

半値八掛け二割引きから反発した本当の理由とは

キオクシア
TradingView参照

6月22日に112,700円という史上最高値を付けたキオクシアは、1か月後の7月30日に36,020円というまさに半値八掛け二割引きの水準まで下落、そこから反発し4,000円台まで回復、翌31日には売られすぎからの反動でストップ高買い気配のまま引けた。同日に発表された決算発表では、アナリスト予測は下回ったものの好決算となり、同時に自社株買い、株式分割なども発表された。

半値八掛け二割引きとは、株式相場の格言で「もうこれ以上は下落しない」と言われる水準のことだ。つまり、基本的には買い方がすべて投げた状態のことを指し、この水準まで下落すると株価は反転し、トレンド転換することが多い。ただし、日本の1990年代のバブル崩壊時にはこの水準以上に下落することも珍しくはなく、大暴落と言われるような際には当てはまらない。

稀に見る大相場を演じたキオクシアだが、さすがに買われすぎたという理由で暴落したのであるが、果たして買われすぎというテクニカルな理由だけでここまで下落したのか、おそらくそれが本当の理由ではないだろう。歴史的にも稀に見るブル相場を演じたキオクシアだが、短期間に半値八掛け二割引きの水準まで下落した本当の理由は別にあると思われる。

買われすぎが理由でないということになるとどうなるのか?可能性としては、7月30日の安値が歴史的な最安値ではないということになり、直近で再び下落する可能性も出てくる。1990年代のバブル崩壊と同じ現象が起こるかもしれない。

好決算、好材料発表でも株価が上昇しない

7月31日(金)にストップ高したキオクシアだが、引け後に発表された決算ではアナリスト予測は下回ったものの十分好調な数値となり、同時に自社株買い、株式分割(3分割)も発表された。先月であれば、間違いなくストップ高を誘発するような内容のものである。にもかかわらず、夜間取引では2,000円安となっている。

好決算というのはすでに織り込み済みだったのかもしれない。また、株式分割が悪材料ととらえられたのではという噂もある。通常、株式分割は株価にとっては好材料として見られることが多いが、キオクシアのような特別な株の場合には悪材料となることもしばしばある。つまり、もはや特別な銘柄ではなく、通常の銘柄になってしまい銘柄としての価値を失ったとみられるわけだ。

超値嵩株で大人気銘柄となっていたキオクシアは、最低単位でも一般投資家には手を出しずらい存在で、特別な投資家でないと投資できない銘柄になっていたのだ。それが分割により普通の銘柄になってしまったということで、少なくとも短期的には以前のような大暴騰相場は期待しにくくなったというわけだ。

大口投資家がキオクシアを投げた理由とは

では、ここまでキオクシアが大暴落した本当の理由は何なんだろうか。半導体メモリ市場に何が起こったのか?一つのヒントとなりそうな事実は、キオクシアに注文を出すハイパースケーラー側の問題だ。つまり、AIデータセンターを建設し、キオクシアに半導体メモリを発注するハイパースケーラーに異常事態が生じていそうなのだ。

機関投資家などの大口投資家が注視するのは、ハイパースケーラーのフリーキャッシュフロー問題である。100兆円企業、200兆円企業となったハイパースケーラーはこれまで十分な現金を所有していた。ところが、AIデータセンター建設には膨大な資金が必要であり、彼らの所有していた現金が底をつき始めているというのだ。

これから始まるAI時代にAIデータセンター建設は必須である。しかし、競争に打ち勝つためには想像を超えるような莫大な資金が必要となる。最近、オープンAIやアンソロビックという生成AI企業の上場が噂されたり、メタの公募増資が噂されている。グーグルは約12兆円にものぼる資金を公募で調達している。

株式市場からの資金調達を可能にするのは、好調な株式市場であるが、仮に株式市場が長期下落相場入りした場合には資金調達も難しくなる。少なくとも大量の資金調達はできないだろう。

株式市場を支える自社株買い

好調な株式市場を支える大きな要因は企業による自社株買いであることに異論の余地はない。しかし、ハイパースケーラーのフリーキャッシュフロー問題は、この自社株買いに大きな影響を及ぼすだろう。これまで潤沢な資産が可能としていた自社株買いが、AIデータセンター建設という金食い虫のおかげでできなくなる可能性がある。

ハイパースケーラーによる自社株買いがなくなれば、SP500やNasdaq市場の株価の上昇力は大きく削がれることになるのは間違いなさそうだ。このことは、ハイパースケーラーが資金調達を目指すSP500市場やNasdaq市場からの資金調達を難しくすることとなる。

つまり、AIデータセンター建設に膨大な資金がつぎ込まれることで、フリーキャッシュフロー問題が発生し、自社株買いを難しくする。このことが株式市場に大きな調整をもたらす。AIデータセンター建設がうまく進まなければ、キオクシアに来るはずの大量注文が危なくなるというわけだ。

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