株式市場下落でも続く円安相場
イラン紛争の混乱は再び原油相場の上昇をもたらし、さすがの株式市場もどうやら調整期を迎えたようだ。強烈なAIデータセンター銘柄の巻き戻しが発生しており、落ち着きを取り戻すのにはまだまだ時間が必要だろう。
これまでドル円相場は、日経平均の上昇とともに円安が進んでいた。日経平均が下落するようだと、一時的にも円高に進むのではとの思惑もあったが、現時点では、高値更新後の163円台という高い水準で推移しており、円高トレンドが発生しそうな気配は見せていない。
原油相場の上昇は、米国長期金利の上昇をもたらしている。日本の長期金利も上昇しているが、米国長期金利の上昇がそれを打ち消している。日銀が小幅な利上げをしたところで、米国金利上昇には追いつきそうにないからだ。
本格的な株式相場の下落トレンドが発生するようなら話は別だが、軽い調整レベルの下落では、円キャリートレードの巻き戻しも起こらないということだろう。
2025年安値からの強力なサポートライン

ドル円相場は、2025年4月後半の安値139円台から引いたサポートラインにきれいに支持されながら上昇している。このサポートラインはかなり意識されはずで、このラインを明確に下回るような円高相場にならない限りは、円安相場は継続すると思われる。
強い上昇トレンドがあるわけで、このままでは165円台も時間の問題だと思われるが、多くの投資家が注目する165円台に入るようだと、円安相場はさらに加速をつけて円安に進む可能性もありそうだ。すでに、昨年の4月後半から約1年3か月以上にわたる円安相場だが、最終局面に一気に上昇してしまうようなこともありそうだ。
ただし、多くの投資家が注目する165円を手前にして、急激に上昇力を失うようだと目先的にはサポートラインを試すような動きも考えられる。ちなみに今週のサポートラインは159円台の後半に位置している。ここでは協力にサポートされそうだが、株式相場の動向次第ではまさかの円高相場を展開する可能性も考えられなくなない。
為替介入のタイミングは
気になるのは為替介入のタイミングだ。すでに片山大臣は何度も適切な時期にという発言をしており、円安相場が続いている現状ではいつ介入があっても不思議ではないだろう。もちろん、前回の介入が世間的には失敗と思われており、次回の介入は失敗は許されない状況で、当局も慎重な姿勢をとらざるを得ない。
介入のタイミングにはいくつかのものだ考えられるが、当然、最も効果の大きいタイミングが狙われるはずだ。可能性としては、上記のサポートラインを割れるような水準はより多くの投げ売りを誘う形になり、一定の効果は期待されるはずだ。
また、2024年7月上旬の介入では約2か月で20円以上の円高相場を実現させているが、タイミング的には162円台をつける直前、日経平均株価も史上最高値を更新したタイミングで実施され、円キャリートレードの強力な巻き脅しを誘い、円高とともに日経平均も大きく下落している。日経平均は約1か月で12,000円以上も下落した。
AI相場が始まって以来、押し目には必ずと言っていいくらいの大量の買いものが入ってきた。まさに、押し目買いに押し目無しという状況が続いていた。ところが、さすがに買われすぎということから日経平均は高値からはすでに1万円以上の調整期間に入っている。AI銘柄にも高値には多くの信用買い残が控えており、これまでと同様のAI相場を期待するには相応の時間が必要となるだろう。
つまり、介入のタイミングとしては、すでに適切な時間帯に入っている可能性は十分考えられそうだ。
ドル円月足に見られるウェッジ・フォーメーション

ドル円相場の月足チャートには、2021年1月の102円台を底値とするウェッジ・フォーメーションが見られる。介入効果もあり歴史的高値になったと思われた2024年7月の161円95銭は、強力な抵抗ラインになると考えられていた。しかし、先月ドル円相場が162円台に突入したことで、強力なはずの抵抗ラインが突破されてしまった。
ウェッジ・フォーメーションが突破された場合の上限幅は、2021年1月の底値102円から2024年7月の約162円、つまりおよそ60円ほどと想定され、その場合、円安相場は220円台まで上昇してしまうことになる。さすがに、現時点ではそこまでの上昇は考えにくいが、次の為替介入も効果がなかった場合にはさらに円安は継続するであろうし、ウェッジ・フォーメーションの特徴として、短期間で大きく動く可能性も否定できない。
英国大手ファンドのブルーベイは、巨額のドルショートポジションを持っていることが公表されているが、現在、損切りポイントを164円台に置いているといわれている。ブルーベイは介入期待から巨額のショートポジションを持ったといわれるが、それが分かっているから当局も介入しずらいのである。金融当局としては、ブルーベイの損切りの後に介入したいというのが本音であろう。
