金相場の調整終了はいつ
本年1月29日に5,600ドル台まで急騰した金価格は、その後のイラン紛争の混迷にもかかわらず、下落トレンドが継続し直近では4,000ドル割れまで下落している。有事の金と言われながら、戦争が始まった途端に売られたわけだが、これには大きな理由があった。
その理由とは、世界最大の金ETFであるSPDR金ETFのオプション取引だ。本年1月末にかけて大相場を演出した金相場の主役こそが、このSPDR金ETFのオプション取引で、急騰した金価格にかけられていた大量のプットオプションが踏み上げられることによって5,600ドル台まで上昇したのだ。
長らく動いていなかった金相場を上昇させたのはプットオプションの踏み上げ相場であり、1月から3月初旬にかけては同じくコールオプションも買われることになったのは言うまでもない。大人気となった金相場には個人投資家も多く参入し、金ETFの信用買い残も増加した。
つまり、1~3月にかけてのコールオプションの買い残や信用買い残が高値圏内に残っており、これらの期限が経過しない限りは高値圏に多くの売り物が控えている状況となり、金価格は上昇しにくいのである。
高値での買い残(売り物)がなくなる期限とは
SPDR金ETFのコールオプションのコールの買い残や他の金ETFの信用買い残が無くなると、高値に控える大量の売り物が大幅に減少するわけで、金相場は動きやすくなることは間違いない。では、そのタイミングは一体いつ頃になるのであろうか。
高値を付けた1月後半から2番天井を付けた3月初旬にかけて、高い価格帯での買い物が多く残っている。金ETFの信用買い残は今月から9月初旬にかけては減少していくはずだ。SPDR金ETFコールオプションの高値の買い残はどうだろう。こちらは9月30日のSQが期限となりそうで、10月以降に関しては売り物は相当減少している可能性があり、金価格はより上昇しやすくなるのは間違いなさそうである。
短期的に発生していたAI銘柄への乗り換えも減少傾向か
金相場の低迷の要因として、最近言われているのが、現金化された金のAI関連株式銘柄への乗り換えだ。下落したとは言っても金相場は歴史的には高い水準にある。しかし、低迷相場が続いている現状では、より利益の見込める人気株式銘柄へ乗り換えを検討する投資家も少なくはないだろう。
そんな折に株式相場では、史上まれに見るようなAI爆上げ相場が起きていたわけで、金からAIデータセンター関連銘柄への乗り換えを実施した投資家は相当数存在すると思われる。では、今後はどうだろう。再び、AI爆上げ相場が始まるようなら同じ動きがみられるかもしれない。しかし、すでにAI相場も調整入りした可能性が高く、金売却からAI銘柄買いという動きは起こりずらいのではないか。
逆に、今後の金相場の上昇を見越して、AI銘柄を売って金相場に投資するという投資家は一定数出てくるのではないかと考えられる。
金利上昇はどう影響するのか
金利上昇で金は売られるという話をするアナリストもいるが、確かに金投資では金利は発生せず、債券投資のほうが金利上昇局面では魅力的に映るであろう。では、本年1月末に5,600ドルの高値を付けた時の金利はどうだったのだろう。米国10年物国債金利は、昨年後半の4%割れから本年1月末にかけては上昇しており、4.3%近くまで上昇した。
むしろ、その後の金価格急落とともに下落しており、5月には再び4%割れまで低下している。つまり、必ずしも金利上昇が金価格の売り要因となるわけではなく、1月末のような強い相場展開であるならば、金利上昇の影響はほとんど受けないと考えてもよさそうだ。
底値圏を脱出するような動き

金の日足チャートを見てみると、最初の急落はいったん一目均衡表の雲がサポートラインとなり、2番天井への上昇となった。しかし、その後の急落では一目均衡表の雲を下回り、この雲がレジスタンスラインとなっている。
仮に上昇トレンドが発生するとしたら、このレジスタンスラインである一目均衡表の雲を上抜けることが必要で、そのような動きを見せるようなら、日足の転換線、基準線の向きが現在の下向きから上向きに転換しているはずだから、再び5,000ドル台を目指すような動きになると想定される。
6月から7月にかけて4,000ドル割れまで下落したものの、昨年10月の安値は割っておらず、8月入りしてからは一目均衡表の基準線の上に出ており、いよいよ底値圏を脱出するような動きを見せているようだ。この動きは、言うまでもなく、コールオプションの買い残やETF信用買い残が減少していることを物語っているとも言えるだろう。
金投資の底値圏脱出は意外と近いのかもしれない。とりわけ、9月末に控えるSPDRコールオプションのSQ前後の金相場の動きは要注目となりそうだ。

