有事の金なのに買われない
イラン戦争勃発から、日米の株式市場である日経平均、S&P500、ナスダック総合指数は史上最高値を更新し続けている。日経平均に至ってはこの1か月で20%以上も急騰しており、63,000円台までつけている。
それに比べて、有事の金、インフレヘッジとしての安全資産の金であるはずの金相場は現状は蚊帳の外だ。イラン戦争勃発によりボラティリティが上昇したのは原油価格であり、原油価格の一喜一憂に株式市場も反応している。
米国とイランによる停戦交渉がまとまれば、原油価格は下落して株式市場はさらに最高値を更新するだろう。逆に、予想に反して交渉が決裂した場合には原油価格は急騰し、株式市場は大きな調整期を迎えることになるはずだ。
実は有事の際には買われない金
禅問答のようにも思えるが、実は有事の際には金は買われていない。つまり、金とは有事の際に備えて平時に買うものであり、有事の際には現金化してこそ役に立つのである。
今回の例でみれば、平時に有事に備えて金を購入していたトルコ中銀が、インフレ懸念から今回の有事で金を売却し、自国国債の防衛の手段として活用している。金とは本来このような使われ方をするもので、有事の際には現金化のため売られる可能性が高いのだ。
本年1月に金価格が5,400ドル台の高値を付けたのは、金のETF化が人気化し多くの個人投資家も金相場に参戦してきたのが大きな理由である。個人投資家は、将来的なインフレ対策として金という金融商品に投資したと思われる。
手軽に買えるようになった金
ではこのまま金相場は終わってしまうのだろうか?結論から言うと、金相場はまだ始まったばかりだと思われる。トルコなどでは金は以前から手軽に買えるものであった。手軽にとは、手数料や売買スプレッドのほとんどなくという意味だ。
日本などでは、金投資をしたくても現物を買おうとすると、手数料は高いはスプレッドは広いわで金融商品としての魅力が乏しかった。ところが、ETF商品の登場により、日本でも手軽に金に投資することができるようになった。
本年1月にあまりにも人気化したために、いったん高値を付けて調整期に入った金相場だが、調整期間が終了すればまた人気化するはずだ。

