10年物長期国債2.8%台へ!29年ぶりの高水準

国債 為替

長期金利2.8%台へ

日本の長期金利(10年物国債)が高止まりしている。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは、5月18日約29年ぶりとなる2.8%台へと急伸し、その後も高止まりしている。

日本の長期金利上昇の主な要因は、日本銀行による金融政策の正常化(国債買入額の減額や利上げの継続)、物価上昇(インフレ)とそれに伴う実質金利の低下圧力、拡張的な財政政策への懸念、そして世界的な金利高への連動である。

長期金利上昇4つの要因

財政規律への懸念と国債需給の悪化

日本の政府債務残高は先進国の中でも極めて高い水準にある。そのため、拡張的な財政政策(大規模な経済対策や複数年度にわたる減税、補正予算の編成など)が実施されると、国の借金がさらに増えることになる。

国債の発行量が増加(国債の供給過多)すると、市場で国債を消化するために利回りを引き上げる必要がでてくる。さらに、「財政赤字の拡大は将来的なインフレや国債の信用低下を招くのではないか」という市場の警戒感(リスクプレミアム)が高まり、投資家が国債を敬遠して売る動きが強まることで、金利上昇に拍車がかかる。

今回、長期国債を2.8%台まで上昇させたのは、主に海外投資家(投機筋)による短期売買が要因だろう。財務省の「対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)」によると、海外投資家(非居住者)は5月10~16日の週に中長期債を1兆334億円売り越していました。売越額は3月22~28日の週(2兆6,461億円)以来の大きさとなっている。

物価上昇(インフレ)

長期金利を決定する重要な要素の一つに「期待インフレ率」がある。モノやサービスの価格が上昇するインフレ局面では、お金の価値が目減りするため、貸し手は実質的な価値を保つために高い金利を要求するようになる。

近年、日本でも人手不足を背景とした大幅な賃上げ(春闘など)が相次ぎ、これが企業の人件費増、ひいては販売価格への転嫁という形でインフレ圧力を強めているのだ。物価高が一時的なものではなく「定着する」と市場が判断すると、長期金利は上昇しやすくなる。

海外金利の高止まりと円安の影響

日本の金利は、国内要因だけで決まるわけではなく、米国をはじめとする海外の主要中央銀行が高金利政策を維持、または慎重な利下げ姿勢を見せている場合、日本と海外の金利差が大きく意識されることになる。

すると、金利の高い海外資産へ投資資金が流出しやすくなるため、これが円安を招く一因となる。円安が進むと、エネルギーや原材料など輸入コストが高騰し、国内のさらなる物価上昇(輸入インフレ)を引き起こす。このインフレ懸念が日本国債の価値低下を招き、結果として長期金利の上昇につながるというグローバルな連鎖も大きな要因である。

日銀の金融政策正常化

長年にわたり、日本銀行はデフレ脱却を目指して「量的・質的金融緩和」や、長期金利を一定の範囲に抑え込む「イールドカーブ・コントロール(YCC)」などの大規模な緩和政策を続けてきた。しかし、物価や賃金の上昇基調が確認されたことで、日銀はこれらの政策を段階的に解除・修正し、金融政策の「正常化」へと舵を切った。


政策金利が引き上げられ、さらに日銀による国債の買入額が減額(テーパリング)されることで、これまで人為的に低く抑えられていた市場金利全体に上昇圧力がかかっている。市場が「今後も日銀は追加利上げを行う」と予想するようになると、将来の金利上昇を見越して国債が売られ(利回りは上昇)、長期金利が押し上げられる仕組みである。

日銀の利上げはあるのか

こうなると注目されるのは日本銀行の利上げだ。5月の日銀政策決定会合では現状維持となったものの、市場金利はすでに利上げ催促相場が始まった感もある。では6月に利上げかというと、タイミング的に難しいだろう。政府が6月に景気対策を打ち出すさなかで、それを打ち消すような利上げをするとは考えにくい。

その分、7月以降に0.5~0.75%の利上げが実施される可能性は十分考えられる。ビハインド・ザ・カーブ(Behind the curve)、日銀の金融政策は後手に回っているのではとの指摘も強く、利上げしない場合でもQTなどの何らかの対策は打たれるはずだ。

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