米市場の株式リスクプレミアム消滅寸前!日本はどうなの?

株式リスクプレミアム 日経平均株価

米市場の株式リスクプレミアムが消滅寸前

WSJ(ウォールストリートジャーナル)が「株式リスクプレミアム、米国金融市場で消滅寸前!」と報じている。米国株式市場はAI特需という現象から新高値を更新し続けているが、ある指標によると、株式投資の妙味はインターネットバブル崩壊後と同水準まで低下している。

その指標こそが株式リスクプレミアムであり、これは一般的にS&P500種指数の益回り(株価収益率の逆数=PERの逆数)と10年物米国債利回りの差」と定義される。ここ数週間でこの差はほぼ消滅し、新千年紀が始まって以来の最低水準近辺で推移していると解説している。

米国は日本とは違い、個人金融資産の約55%(日本は約11%)が株式市場で投資されており、株高が続く昨今その勢いは衰え知らずという状況だ。株が上昇するから買うわけだが、実はすでに投資としての妙味は失われつつあると警鐘を鳴らした形だ。

金利上昇で債券が買われ、株が売られる

記憶に新しいところでは、2024年7月31日の「植田ショック」と呼ばれる日銀による利上げとタカ派発言は、日経平均株価を4万円から3万円へとおよそ1万円近くもの暴落を短期間で引き起こした。

この時は異次元の金融緩和政策からの脱却という大きな変化が、円キャリートレードを終焉させるのではという思惑から、一気に巻き戻しが起こったものだが、それほどまでに金利上昇は株式市場へ大きな影響を与える。

とりわけ昨今の世界的なインフレ傾向から、各国の金利は上昇しており、本来株価は下落していてもおかしくはない。しかし、AIというとんでもない未来が金利上昇を抑え込んで株価を上昇させている。その結果として、米国市場で株式リスクプレミアムが消滅してしまったということだろう。

日本市場の株式リスクプレミアムは?

では、日本市場の株式リスクプレミアムはどうなっているのだろう。AI特需による株式高騰相場において、日本の株式市場の上昇率は米国の株式市場よりも高いことは知られている。さらに言えば、台湾や韓国の株式市場の上昇率は日本のそれをさらに上回っている。

直近における日本市場の株式リスクプレミアムは2.9%台だ。日本市場も例外にもれずインフレ懸念から金利は上昇中、10年物の日本国債の利回りは2.8%台まで急騰している。ちなみに、過去5年間の日本市場の株式リスクプレミアムは平均6%前後であり、急速に低下中というところだ。

つまり、通常は6%前後のプレミアムがあることから、リスクのない安全資産である国債ではなくリスクのある株式に投資する投資家たちが、AI特需により株価の上昇が止まらないため、通常の半分以下である2.9%のプレミアムでリスク資産である株式に投資しているということになる。

日銀のETF買いとは?

日銀のETF買いとは、日本銀行がデフレ脱却や経済の安定化を目的として、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数に連動する上場投資信託(ETF)を市場から大量に買い入れる非伝統的な金融政策のことだ。2010年に導入され2024年3月に現植田総裁のもと、物価安定の目標が達成される見込みとなったため、新規の買い入れは終了することになった。

つまり、デフレ脱却を目指す日銀は、企業のリスクテイクを促すために株式のリスクプレミアムを引き下げようとしたわけだ。日銀が株式を直接的に買い入れることで市場の需給を引き締め、株価の下支え・上昇を狙ったのである。

結果だけ見ると、日銀のETF買い入れは大成功と言えるであろう。2010年から2024年までの間に買い入れたETFの簿価総額は37兆円を超えており、時価総額に換算すれば相当な含み益が発生しているものと想定される。

さらなる金利上昇で株式市場はどうなる

米国の株式リスクプレミアムはほぼなくなり、日本のそれも急速に低下している。インフレによりさらなる金利上昇が続いた場合には、米国ではマイナスになり、日本の株式市場のプレミアムもさらに縮小してしまう。そうなると、機関投資家などはわざわざリスクを冒してまで株式による積極運用をしようとはせずに、元本保証の債券運用に切り替えることになる。

個人投資家としては、梯子を外されたような状況となりかねない。現在、日本の株式市場を引っ張っているのは外国人による買い(外人買い)である。上昇を続ける日経平均だが、この傾向は依然と全く変わっていない。外人投資家が日本株に魅力を感じないようになると、買いの主体がいなくなるわけだ。

ましてや、これまであった日銀のETF買いもなくなるわけで、外人投資家にとっては日本株のプレミアムが大きく減少しているのである。青天井のような日経平均もさらなる金利上昇があるようだと、厳しい状況を迎えることになるかもしれない。当分、日本10年物国債の金利動向から目が離せそうにない。特に、3%を超えていくようだと要注意となる。

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