為替介入は本当に効果がないのか!4月介入が効かなかった理由とは

ドル円相場 為替

4月30日からの円買い介入

4月末から5月のゴールデンウイークにかけて実施された政府・日銀による円買い介入は総額およそ11.7兆円にものぼった。2024年の介入で約20円の円高ドル安相場が実現しているため、遂に天下の宝刀が振り下ろされたのかという期待感とともに、今回も大幅な円高相場になるのではとも思われた。

しかし、現実はそうはならなかった。4月30日から5月6日にかけては、約5円強の円高相場となったものの、ゴールデンウイーク終了後からは元の円安相場に少しづつ戻り始め、6月後半にはほぼ介入時の水準まで価格は戻った。その後はご承知の通りの160円越えの円安相場が続いている。

この状況を見て、多くの市場関係者からはもはやドル円相場には為替介入効果がなくなってしまったのだという声が多く聞かれるようになった。その後も161円台突入、162円台に突入するも介入は実施されておらず、一般投資家でさえ、すでに介入が効果を発揮する時代ではなくなったと考えるようになっている。

介入

円買い介入が効果を発揮できなかった理由

今回の為替介入に効果がなかったといわれる最大の理由は、おそらく、世界的なインフレ時代の中で長期的な円安時代に突入しており、今後170円台、180円台に突入すると想定される円安時代には、たかが10兆円規模の介入では効果がないという説が有力である。

最近の強い円安相場を見ていると何となく納得してしまいそうにもなるが、果たして本当にそうなのだろうか?

世界的なインフレ進行のさなか、各国が利上げに向けて動きそうな気配もある。日銀が利上げしたものの円高に進まないのは、日本よりもインフレの恐れが強い米国が利上げ方針に転換しそうだからであり、金利差が縮小する可能性もないのではという説に多くの投資家の考えは支配されているようだ。

しかし、実は抜群の効果のあった2024年の円買い介入時と比較すると、いくつかの点で環境が大きく異なっていたというのもまた事実である。

円買い介入に効果がなかった本当の理由とは

前回と今回で最も違うのが、株式相場の強さである。2024年の介入時の日経平均は、もちろんAI特需は発生しておらず、インフレもさほど感じられない状況下、やっと1989年末の高値を少し更新したという段階で、その後の株価は横ばいの動きをしている。

そして今回の介入時には、AI特需による大相場が続いており、介入時についても日経平均は5万円台から6万円台へとスピード感ある上昇で、さらに7万円を目指そうかという水準であった。日本の主力産業や半導体関連企業も円安のほうが利益が大きくなる。

さらに、日本の株価を上昇させているのが外国人買いであることは周知のとおりだが、キャリートレードによる買いに対して、大きな額の為替ヘッジが実施された可能性がある。つまり、株価の爆上げ期の介入であったため、この為替ヘッジによる円売りドル買いにかなりの部分が吸収された可能性があるのだ。

日経平均は7月に入り乱高下を繰り返している。さすがに急ピッチでの上昇を続けてきたため、調整入りの可能性もでてきた。仮に、調整相場が続くようであるならば、4月の介入時のような強い株式市場の下での介入とは異なる。少なくとも為替ヘッジによる円売りドル買いは大きくはないだろうから、自ずと違う結果が出るかもしれない。

投機筋の円売りポジション比較

もう一つ重要な指標となるのが、投機筋による円売りポジションの比較だ。日銀や政府は投機筋の動きには細心の注意を払っており、実態とかけ離れた相場が投機筋によって作られることがないように目を光らせている。その投機筋の動向を見るのに使われるのがIMM通貨先物市場の投機筋(非商業部門)の円売り(円買い)持ち高である。

投機筋による円売りが多ければ、それだけドル円相場は実体よりも円安に進みやすくなり、逆に円買いが多ければ円高に進みやすくなる。この指標が注目されるのは、2024年の円買い介入時には140億ドルという過去最高水準まで投機筋による円売りが進んでいたところに、円買い介入が実施され大きな効果を実現させているからだ。

実は、2026年4月から5月連休にかけての円買い介入の際には、この投機筋による円売り持ち高は70億ドル前後という水準で、2024年に比べると約半分しかなかったわけである。では、直近の数字はどうかというと、6月23日時点では113億ドルとなっている。2週前には120億ドルまで増えていたものの、この段階で介入警戒感が強力に強まったということになる。

いずれにせよ、投機筋の円売り持ち高は高い水準にあり、ここを狙って介入が実施される可能性は十分あるだろう。言うまでもないだろうが、介入により投機筋の円売り持ちを投げさせることにより、効果の高いドル買い介入を実現させるのである。

2つの条件が揃えば、効果抜群の円買い介入の可能性も

今回の円買い介入に効果がなかったといわれるのは、株式相場が非常に強いいタイミングで実施されたこと、また、投機筋による円売り持ち高が不足していた可能性が高い。おそらく、次の介入はこれらを十分考慮したうえで実施されるだろうから、ある程度の高い効果が出る可能性は高いだろう。

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