2024年と酷似する介入パターン

本年4月時の円買い介入の際には、効果が全くなかったと揶揄された為替介入だが、7月末に再び実施された円買い介入により、164円台に迫っていたドル円相場は一時157円台まで急騰し週末は158円台で引けている。前回同様、今回もすぐに円安に戻るのではとの予測が多いものの、よくよく見てみると実は2024年の為替介入とパターンが酷似していることにきずく。
2024年のパターンとは、2024年4月末からのゴールデンウイーク中に実施され、その後の7月11日に再び円買い介入が行われました。7月下旬には、日銀が利上げ(0.25%)を決定したことにより、ドル円相場は円安から円高へとトレンド転換することになった。
本年も前回同様に4月末からのゴールデンウイーク中に最初の介入が実施された。一時5円ほどの円高となったものの短期間で160円越えとなったことから、ほとんど効果はなかったと思われた。そして、前回同様に再び7月に再度円買い介入が実施された。効果があるかどうかは今後次第だが、時期的なパターンとしては2024年と非常に似ており、計画的に実施された可能性が高い。
8月にも円買い介入はあるのか
計画的な為替介入であるならば、157円台が目標とは考えられず、さらなる介入等が予想される。8月にも介入が実施されるようだと、投機筋もそう簡単には円売りはできなくなるだろう。米長期国債はまだまだ十分に保有されており、その気になれば10円、20円幅での円安誘導も不可能ではないと思われる。
また、今回は米国との協調介入である可能性も高そうで、米国がドル高を望んでいないということになれば、日本の金融当局も米国債を売却しやすくなるはずだ。米国金融当局によるドル売り円買い介入が実際に実行されるようなことにでもなれば、そのインパクトは大きい。
8月第1週には米国雇用統計の発表も控えている。これまでのように、米国指標でどんな数字が出ても結局は円安というわけにはいかないのかもしれない。雇用統計は前回がサプライズ的な弱い数字であったため増加予想だが、今回も弱い数字となるようなら円高を推し進める可能性もありそうだ。
円買い介入による財源確保説
日本の米国債保有高は国別で断トツの世界1位であり、2026年5月時点で1兆1,143億ドル(約174兆円)となっている。むろん、日米関係という観点からはそう簡単には売却できない性質のものであり、これまでの介入時にも必ず同盟国である米国の了承を得る必要はあったと想定されている。
しかしながら、今回はトランプ大統領というこれまでとは異なる政権であり、ディール次第では米国債の売却も可能であろう。まず、本年の米国債売り(円買い介入)で得られた巨額の収益は、現在政局にもなっている消費税減税の財源として活用されるのではないか。
さらに、今後の日米関係を考えた場合に、日本が要求される防衛費の増額問題も米国債売りによる利益を活用すれば何の問題もなく財源確保が可能だ。米国債売りは、米国にとって国債が売却されるというデメリットもあるが、それ以上のメリットがあるのであれば、174兆円の一定額を円買い介入のために活用することは十分考えられる。
こうなると単純に為替介入は効果がないとは簡単には言えなくなってくる。それでも、現時点での大方の投資家の予想は円安であろうが、投資家マインドに変化が生じ始めている可能性はありそうだ。
先物市場における円売り持ちが狙われる可能性
IMM通貨先物市場における投機筋(非商業部門)の円の売り持ち高(円売り残高)は、直近で116.5億ドルとなっており、2024年の介入時ほどではないが、歴史的には最高水準に近いレベルにある。日本の金融当局は、当然介入時にはこれらの空売り勢の踏み上げを狙ってくる。
これに便乗して円売りをしている個人のFX勢も相当いるだろうから、投機筋や個人投資家が踏み上げられるようなことになると、強力な円高が進むことにもつながるだろう。ドル円相場においては、相当な円売りポジションに偏っていると考えられ、8月にも介入が実施されれば強烈な巻き戻しが起こっても不思議ではない。
7月末の介入時につけた157円944銭のところには、2025年4月22日に付けた139円877銭を起点とする強力なサポートラインが存在している。ここには200日移動平均線も控える。つまり、多くの投資家がこの水準を見ており、ここで一旦反発に転じたことになる。
8月にこの水準を下回るようなことになると状況は大きく変化しそうだ。仮に、8月にも円買い介入が実施されるのであれば、このサポートラインは当然狙われるであろうし、157円944銭を割れそうだという状況にならなければ介入は行われないかもしれない。それほど重要なサポートラインであり、8月上旬に割ってくるようだとドル円相場のトレンド転換に要注意ということになりそうだ。

